大判例

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名古屋高等裁判所 昭和25年(う)2019号・昭25年(う)2020号 判決

被告人が所論のように上野消費購買組合(組合長横山義孝)の事務員で同組合の小切手帳の保管、預金の引出、預入、小切手の振出等の会計事務を一任せられ右組合長の印章をも保管し且つ右組合長が社長である名古屋商運株式会社関係の小切手帳等の保管をもなし、右組合のためにする必要な限度において同会社名義の小切手の振出等の事務をも或る程度委せられていたことが認められるけれども被告人は右説示のように単に右組合に雇はれていた事務員に過ぎなく原審で取調べられた証拠によるも被告人が右組合の代表者又は代理人たる地位にあつた事実又は右組合長又は社長たる横山義孝の代理人たる地位にあつた事実は何れも之を認めることはできなく、ただ所論のような事情で被告人が右組合の事務員に採用せられた関係上当初信頼せられて右説示のような主要事務の担当を命ぜられたけれども右各証拠を具に検討するに右は結局右組合の事務員たる地位においてその組合長即ちその代表者又は代理人たる地位にあつた横山義孝の監督を受けながらその手足としてその職務を助ける形式において之をなしたものであつて、法律的に同人からその職務上の権限について代理権を授権せられその代理権の行使の形態において之をなしたものでなく、各論旨も些か認めざるを得ないように被告人は此の点につきいわば単なる事実上の権限を有したるに止るものと断ずる外はない。果して然らば被告人の地位は右説示のような法律上の権限を賦与せられている支配人の地位とは本質的な差異があつて所論のようにその重要な差異を忘れて容易く両者の近似性を主張して被告人の本件各小切手振出の各所為を支配人の場合におけると同様に論ずることは許されないものと解する。

(後略)

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